第3回〜借方と貸方、そして勘定科目〜 |
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1級ファイナンシャルプランニング技能士CFP認定者吉 川 幸 男 |
今回のタイトルをご覧になった簿記アレルギーの方の
「とうとう出てきた・・・・・」
というつぶやきが聞こえてきそうです。
でも、できるだけ簡単に説明しますので、読んでみて下さい。
そしてわからないことがあったらどんどん「Web 簿記講座質問用掲示板」に書き込んで下さい。
今回は、前回までの復習をまじえながら進めていきたいと思います。
まずプロローグで簿記とは、財産の二つの姿をとらえていくもの、一つは財産そのものの姿、もう一つはその財産をどのようにして手に入れたか、というものであることを説明しました。
これは、簿記の用語の『借方』『貸方』という言葉に置き換えることができます。
すなわち「財産そのものの姿」を『借方』という言葉に、「財産をどのようにして手に入れたか」を『貸方』という言葉に置き換えます。
さらに第1回では、第2回で説明したような財産の増減をともなう取引が発生したときに、仕訳という簿記独特の言語に置き換え、元帳というものに記憶(記録)させる、ということをご説明しました。
ところで発生した取引を「仕訳」の形式に変換してそのまま記録するだけなら、全く意味のないことをしていると思いませんか?
そこで記憶した内容を何らかのかたちに加工することによって、意味のあるものにするのですが、そのために使うツールが『勘定科目』です。
勘定科目は、仕訳の形式で記録した取引の内容を同じ項目ごとに分類するための基準です。
勘定科目には、大きく次の5つの項目があります。
資 産・・・・・一般にいわれる財産だと思っていただいて結構です。
負 債・・・・・人から借りたお金、つまり借金ですね。
資 本・・・・・商売、始めるには元手がいりますよね。その元手のことです。
収 益・・・・・物を売って稼いだお金、物を貸して貰ったお金などです。
費 用・・・・・いわゆる必要経費です。
この項目は、さらにその企業の状況にあわせて細かく分けます。
したがって勘定科目は、無限に作ることができます。
ただしあまり多く作りすぎると、分類する意味がなくなってしまうので、気をつけなければなりません。
具体的な勘定科目の例を示しておきます。
参考にして下さい。
勘定科目の例
資 産 | 現 金 | 預 金 | 売 掛 金 | 貸 付 金 | 商 品 | 建 物 |
---|---|---|---|---|---|---|
機 械 | 車 輌 | 備 品 | 土 地 | など | ||
負 債 | 買 掛 金 | 借 入 金 | など | |||
資 本 | 資 本 金 | など | ||||
収 益 | 売 上 | 受取利息 | など | |||
費 用 | 仕 入 | 給 料 | 広 告 費 | 交 際 費 | 消耗品費 | 通 信 費 |
旅費交通費 | 地代家賃 | 修 繕 費 | 雑 費 | 支払利息 | など |
ところで、ここまで読んできた方で、こんな疑問を持っている方がみえるんじゃないでしょうか!
「『借方』『貸方』と『勘定科目』って関係あるの?」
その通り!!大変重要な関係があります。
勘定科目は、借方グループに属するものと、貸方グループに属するものに分けられます。
借方グループとは、財産がどのようなかたちをしているか、どのように使われたかをあらわすグループです。
先ほど出てきた勘定科目の5つの項目のうち、資産と費用がこのグループに属します。
貸方グループとは、財産がどこからきたのか、どのようにして手に入れたのかをあらわすグループです。
先ほど出てきた勘定科目の5つの項目のうち、負債と資本と収益がこのグループに属します。
ここまでの内容は、次回以降説明する、「仕訳」「元帳」「試算表」を理解する上で大変重要な項目ですので、しっかり覚えておいて下さい。
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© 2006 Yukio Yoshikawa